インターネットや携帯電話の誕生は世の中を大きく変え、スマートフォンはいまや私たちの生活に欠かせないものとなりました。こうした情報機器の中身や信号の送受信、それらを動かす電気など、情報、通信、電気に関する幅広い領域を学ぶのが電気電子通信工学科です。
自動車産業や情報家電業界など、関係するフィールドは多岐にわたります。人々の生活の土台を支える分野で活躍できる知識と技術を修得することができます。
高電圧や大電流を扱う「強電」の分野と、電子制御やディジタル信号処理などの情報分野を学びます。
低電圧や低電流を扱う「弱電」の分野と、無線通信や情報ネットワークなどの通信技術を学びます。
無線通信を利用した、新たな電波応用・アンテナの世界を切り拓く
電気・電化製品に金属接点やコネクタなどを介さずに電力を送電できる「無線電力伝送アンテナシステム」。この技術は近年需要が高まっており、さまざまな場面での利用が期待されています。
たとえば電気自動車の場合、外出先では充電スタンドで充電しなければなりませんが、無線電力伝送の技術が広がると走行中の充電が可能になります。すでにワイヤレス給電が可能な電気自動車の開発も本格化しており、イギリスでは、道路に埋め込んだ送電コイルから電気自動車に充電できる「充電レーン」の実証実験も始まっています。日本でも実用化をめざして同様の研究が行われています。近い将来、コードレスによる充電がさらに普及すれば、部屋に入るだけでスマートフォンが充電できる日も来るでしょう。
私の研究室では、このようなコードレス化の社会を実現するために欠かせない無線電力伝送技術の応用について研究しています。具体的には、太陽光で発電したエネルギーを地上に送る宇宙太陽光発電システムによる影響の研究や、近距離間でコイルを使った無線電力伝送の研究など、さまざまなテーマに取り組んでいます。
一般的に、この分野の研究はシミュレーションによるものが多いのですが、私の研究室ではものづくりを重視しています。実際に作ってみないと分からないことも多いため、コンピュータの世界だけで理解するのではなく、リアルなものづくりを通して、試行錯誤しながら、感覚を養い、研究を進めていくことが大切だと考えています。
近年、ドローンに対する無線電力伝送の需要が高まってきました。過疎地域への宅配や災害地域で人が行けない場所にドローンを飛ばす時に、遠距離で電力を伝送できるシステムが必要とされています。一方で、電磁波がもたらす人体への影響を懸念する声もあがっており、安心・安全に配慮した電力伝送も求められるようになりました。
無線電力伝送は、人々の生活の利便性を高めるとともに、さまざまな社会課題の解決にもつながります。未来の社会において、豊かなライフスタイルを担う技術に、学生とともに日々チャレンジしています。
電波応用・アンテナ工学研究室
竹村 暢康 准教授
※2020年3月時点の情報です。
2つの系統を幅広く学んで基幹技術を身につけ、新たな発想を生み出せるエンジニアを育成します。
計測技術やプログラミング技術など、実験・実習を通して実践的な技術を身につけます。
基礎的な知識と技術を重視し、電気電子通信に関わる分野で活躍できる技術力を修得します。
電気電子通信工学実験Ⅰ
目に見えない電気の流れや強さ、抵抗、電磁波などの計測技術に関して、さまざまなテーマの実験や報告書の作成、実技・筆記試験を通じて学びます。
電気電子通信工学実験IVa・IVb
電力・エネルギー、情報通信、回路設計などのさまざまなテーマの実験・シミュレーションを通じて、実用性の高い最新技術を身につけます。
プログラミング言語応用
エンジニアに必要なプログラミングの知識と活用能力を学びます。講義にあわせて演習を実施することで、経験を積みながら実践的な技術を修得できます。
卒業研究Ⅰ・Ⅱ
これまで蓄積した学修の成果を結集して取り組む卒業研究。ゼミ発表や中間報告書の作成を通じて、社会で役立つ実務的課題の処理能力を身につけます。
電波暗室
(無線伝送メディア)
無響室
(マルチメディア信号処理)
電子顕微鏡
(先端材料/電子物性研究室)
ドライビングシミュレータ
(計算知能システム)
電子デザインラボ
ドローンネットワーク
4年 斉藤 猛 さん (埼玉県立深谷高等学校出身)
※学年は2020年3月時点のものです。
音楽が好きで、高校では吹奏楽部に入り、フルートを担当。進路を考え始めた時に「音は波。電気も同じ波だよ」というアドバイスをもらい、電気に興味を持ちました。大学選びでは、自分の好きなことが突き詰められる大学であるかを重視し、日本工大を選択。大学のパンフレットに掲載されていた大田先生の研究室がとても面白そうで、「ここで学びたい」と思ったのです。
私は普通科の理系出身で、電気回路やブレッドボードも触った経験がなく、大学の勉強についていけるか不安でしたが、日本工大では1年生から基礎をしっかり学べる講義や実験も多く、安心して授業に取り組めました。特に実験は2~3人のグループで行い、一人で最初から最後まで手を動かす実験が多いので、着実にスキルを身につけることができます。
日本工大では、とにかく好きなことに全力で取り組めています。私は2年生の時から大田先生のゼミに入り、フルートの研究を続けてきました。卒業研究では、フルートの音色と穴の大きさの関係性や、音色が変化する原因について研究しています。
将来は、今の研究をもとに新しい楽器をつくってみたいと考えています。日本工大での学びを通して、世界中でまだ誰もつくったことがないものづくりに挑戦することこそ、価値があると考えるようになったからです。
将来の進路
大学院進学/回路・システム設計者/半導体技術者/情報通信技術者/無線通信士/電気主任技術者/設備管理者/生産技術・生産管理・プロセス開発者/品質管理・品質保証者/システムエンジニア/サービスエンジニア/セールスエンジニア/研究開発者/教員・公務員
めざす資格(分野共通)
電気主任技術者、電気工事施工管理技士、エネルギー管理士、電気通信主任技術者、ガンマ線/エックス線作業主任者、電気通信工事施工管理技士、無線従事者、ネットワークスペシャリスト、情報処理技術者、基本情報技術者、応用情報技術者、ITパスポート、高等学校教諭一種免許(工業)、中学校教諭一種免許(技術・数学)
電子材料/電子回路システム研究室
青柳 稔教授 [博士(工学)]
先端材料/電子物性研究室
石川 豊教授 [工学博士]
電気接点材料/計測制御研究室
吉田 清教授 [博士(工学)]
電気機器/マイコン制御研究室
上野 貴博教授 [博士(工学)]
エネルギーエレクトロニクス研究室
木村 貴幸准教授 [博士(工学)]
高電圧・絶縁研究室
清水 博幸准教授 [博士(工学)]
電力システム研究室
竹本 泰敏助教 [博士(工学)]
無線ハードウェア研究室
宇賀神 守教授 [博士(工学)]
計算知能システム研究室
生駒 哲一教授 [博士(学術)]
無線伝送メディア研究室
平栗 健史教授 [博士(情報学)]
信号処理研究室
木許 雅則准教授 [博士(工学)]
メタヒューリスティック研究室
進藤 卓也助教 [博士(工学)]
通信トラヒック工学研究室
吉野 秀明教授 [博士(理学)]
ワイヤレスネットワーク研究室
高瀬 浩史教授 [博士(工学)]
電波応用/アンテナ工学研究室
竹村 暢康教授 [博士(工学)]
マルチメディア信号処理研究室
大田 健紘助教 [博士(工学)]