「デザイン・設計」「エネルギー・制御」「生産技術」。機械工学の基本となる3つの分野には過去から受け継がれてきたものづくりの知識と技術が集約されています。
機械工学科では基礎となる知識と技術を身につけ、これらを実践的な学びや先端技術を駆使する研究に応用していきます。科学技術のハード面を支える確かな専門能力と、時代を先取りする応用・発展力を兼ね備えたエンジニアを育成します。
工業デザインを通じて提案手法や、CAD/CAM/CAEを用いた設計手法を修得します。
熱・流体・機構・制御などの基礎と応用技術を学び、様々な製品開発に役立つ技術を身につけます。
材料および加工方法について学び、生産技術に関する実践的な知識と技能を修得します。
レーザー光で膜の厚さや屈折率を設測する装置
私の研究室は「光」をテーマにし、その特徴を用いた技術の開発に取り組んでいます。たとえば、光の反射。金属板に光を当てると反射しますが、この反射をナノレベルで観察するとさまざまな現象が見えてきます。
光は電磁波で、電場と磁場の波です。この電場の波は電子を揺さぶり、さらに光が照射されると、金属の表面にある揺さぶられた電子が電場の波を再度生み出します。つまり、反射という現象は、電場と電子のキャッチボールで生み出されているというわけです。この反射をナノレベルで制御し、光のエネルギーを金属の表面に閉じ込めるのが私の研究です。「表面プラズモンポラリトン」という現象ですが、赤・青・緑など、波長の異なる光のうち、どれかだけを金属に閉じ込めることができます。
表面プラズモンポラリトンの応用としては、捕まえた光を閉じ込めておくため、光が強く、効率的に利用できることが特徴です。一例としては、3Dホログラムをより鮮明に表示する技術などに応用可能です。ほかにも、水がアルコールに入れ替わる様子が可視化できるなど、人間の目では見えない顕微鏡レベルで起きる物質の変化を見分けることができます。昨今は分別器を用いれば、物質の判別も可能ですが、ものづくりの一環として、実際に自分の目で物質の変化を確認する手法として、光が応用できることを知ってほしいです。
光の研究で面白いところは、光そのものが扱いづらいことでしょう。たとえば木や金属であれば、手に触れられる物質として存在しているため、切ったり、削ったり、何かの完成品を作ったりと加工がしやすいです。しかし、光は力も形もなく、扱い方も特殊です。モノを測る行為ひとつをとっても、定規という物体で測るのと、光で測るのは異なり、物理的な接触がない光は、扱うのがむずかしいです。だからこそ、同じものづくりの世界でも、自由度が高く、人が取り組まない変わったテーマに挑戦できるという面白さもあります。光学産業は日本においても重要な産業のひとつであり、光テクノロジーの研究も社会に果たす役割は大きいです。
こうしたことから、私の研究室では光をテーマにしつつも、ものづくりの範囲を限定するのではなく、いろいろな分野の研究やものづくりに触れることを重視しています。
光テクノロジー研究室
小﨑 美勇 准教授
※2020年3月時点の情報です。
講義による知識の獲得と、実験・実習による技術の修得を並行して進め、またアクティブラーニングを取り入れた学びで実践的能力を身につけます。
深い専門知識と幅広い教養に加えて高度な技術力を体系的に身につけられるプログラムが、より高いレベルのエンジニアを目指す期待に応えます。
基礎から身につけた専門力、応用力、発展力は、研究開発や生産技術などへと卒業後の活躍の場を広げます。
機械CAD
製造業でも利用される三次元CADを用いて、機械設計を学びます。初年度から本物のCADに触れることで、実践的な技術を着実に身につけていきます。
機械工学実験2
機械工学の四力(材料力学・機械力学・流体力学・熱力学)の理論を対象に、実験とレポート作成を通して理解を深めます。
機械工作実習
機械設計を行うために不可欠な加工技術の知識を、加工や測定を体験することで実践的に学び、技術の向上をめざします。
機械総合演習2
動力機構や金型に関して、設計から試作・評価までの一連の流れを主体的に進めることで、知識と技術を統合して使いこなせる能力に発展させます。
1学年春学期から始まる実験・実習・製図は機械実工学教育センターで実施!
射出成形機
(プラスチック成形加工研究室)
プレス加工機
(塑性加工研究室)
RFプラズマCVD合成装置
(新素材研究室)
温泉熱利用発電実験装置
(エネルギー工学研究室)
風洞実験場
(エネルギー工学研究室)
クリーンルーム
(微細デバイス研究室)
2年 田部 清楓 さん(福島県立喜多方桐桜高等学校出身)
※学年は2020年3月時点のものです。
自動車整備士だった祖父の影響で小さい頃から機械いじりが好きでした。そこで工業高校に進学し、将来は工業高校の機械科の先生になりたいと思うようになりました。そのため、大学は教員免許が取得できる大学を志望。日本工大出身の担任の先生から「教員養成に強い大学」という話を伺い、進学を決めました。
日本工大では1年生の時からものづくりに取り組めるカレッジマイスタープログラムが魅力でした。私は機械加工工房に所属し、ミニ旋盤を部品から自分でつくっていますが、他の大学では1年生の時は教養を学ぶことが多く旋盤に触る機会も少ないようですので、私はとても貴重な経験ができていると思っています。
工房でのものづくりは楽しく充実した時間です。金属の塊だった材料を自分が加工することで形が変わり、部品として完成させられるプロセスに魅力を感じます。また、高校の時は先生の指示通りにつくるだけでしたが、工房では図面を見て、どの手順で、どのように作っていくのかを自分で考えることが楽しいです。失敗も多いですが、工房でのものづくりを通して、考える力が伸びたと感じています。
今は機械科の先生をめざして、大学での勉強をがんばっています。私は福島県の出身なのですが、福島県の工業高校には女性の先生が少ないので、私が教員になることで工学に興味を持つ生徒が増えるよう地元に貢献したいと思っています。
将来の進路
大学院進学/機械製品の研究・開発技術者/生産技術分野の研究・開発技術者/機械関連の設計技術者/新素材の研究・開発技術者/プラントエンジニア/生産管理技術者/工業デザイナー/教員・公務員
めざす資格(分野共通)
技術士、機械設計技術者、CAD利用技術者、一般計量士、国家技能検定試験、高等学校教諭一種免許(工業)、中学校教諭一種免許(技術、数学)
CAD/CAM研究室
長坂 保美教授 [博士(工学)]
人間中心設計研究室
細田 彰一教授 [工学修士]
固体力学研究室
瀧澤 英男教授 [博士(工学)]
微細デバイス研究室
加藤 史仁准教授 [博士(工学)]
機械技術史研究室
丹治 明講師 [学芸員 修士(工学)]
製品造形研究室
平山 晴香助教 [修士(専門職)]
エンジンシステム研究室
中野 道王教授 [博士(工学)]
エネルギー工学研究室
丹澤 祥晃教授 [博士(工学)]
メカトロニクス研究室
張 暁友教授 [博士(工学)]
流体工学研究室
桑原 拓也准教授
[博士(工学)、Ph.D.(応用数学)]
制御システム研究室
石川 貴一朗准教授 [博士(工学)]
光テクノロジー研究室
小﨑 美勇准教授 [博士(工学)]
構造ダイナミクス研究室
増本 憲泰講師 [博士(工学)]
塑性加工研究室
古閑 伸裕教授 [博士(工学)]
新素材研究室
竹内 貞雄教授 [博士(工学)]
プラスチック成形加工研究室
村田 泰彦教授 [博士(工学)]
精密加工研究室
神 雅彦教授 [博士(工学)]
機械加工研究室
二ノ宮 進一教授 [博士(工学)]
マイクロ加工研究室
野口 裕之教授 [博士(工学)]