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NO.27 目指せ、ノイズのない世界! アクティブノイズコントロールで 静かな空間を創り出す

NITトレインラボ 2021.08.01

基幹工学部 電気電子通信工学科 信号処理研究室 木許 雅則 准教授

[ANC]
ANCとは、Active Noise Control の略称で「能動騒音制御」と呼ばれる騒音除去技術です。音は、空気などの媒体の振動(圧力変動)として伝達されます。ANCでは、この騒音の振動に対して、丁度、逆の振動(同振幅・逆位相の音)となる制御音をコンピュータを用いて生成し、それをスピーカから騒音に対して放射することで騒音の消去を行います。 騒音と制御音は同じ大きさで互いに逆の振動ですので、両者は干渉する(ぶつかり合う)と互いに打ち消し合い振動がなくなります(図1)。つまり、ANCは「音で音を消す」システムです。

【動画1】に、150Hzのサイン波を騒音とした場合でのANCの効果の例を示します。制御スピーカから2m離れた消音ポイントで丁度、同振幅・逆位相となる制御音をリアルタイムに生成することで,ANC-ON時では騒音が抑制されていることが分かると思います。

現状のANCでは、スピーカから消音ポイント間の伝搬経路に変動(人やモノ、消音ポイントの移動)があると消音性能が劣化したり、消音ポイント以外の騒音が制御されていない地点では逆に音が大きくなってしまうなどの問題があります。そのため、その利用はダクトや自動車の室内、工場など、特定の環境や様々な制約条件下に限定されてしまい、公共施設やオフィス、一般家屋など皆さんの目に届く一般的な場所への適用には至っていません。

【当研究室での取り組み】
当研究室では、指向性の極めて高いパラメトリックスピーカを応用したマルチチャネルANCシステムを構築することで、上記の問題の解決に取り組んでいます。このシステムにより、使用場所や場面の制約から開放された一般的で身近な環境で利用できるシステムの実現を目指しています。

本システムは、複数チャネルのパラメトリックスピーカから制御音を直線的に消音ポイントへ放射し、それらの混合音で騒音を打ち消します(図2)。
混合音を用いることで、チャネルそれぞれの音圧を小さくでき、かつその直進性から制御されてない場所への影響を最小限に抑えることが出来ます。
また、音波の直進性により伝搬経路を簡易な形式でモデル化することができ、伝搬経路の変動に対して強靱な実環境に即したシステムが実現できます。
 ▶ 電気電子通信工学科の紹介 ▶ 木許雅則准教授の紹介


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