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NO.18 地球にも人にもやさしい「暮らし」をデザインする

NITトレインラボ 2019.12.01

建築学部 建築学科 生活環境デザインコース
環境共生・建築設備研究室 樋口佳樹 准教授

余市エコビレッジ人工湿地

 余市エコビレッジは、NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクトが運営しており、「住民が互いに支えあう仕組み」と「環境に負荷の少ない暮らし方」を実践しているコミュニティです。そのエコビレッジ内の学び舎と呼ばれる施設からの台所排水を処理するシステムを考案し、ワークショップで手作りしました。

 台所排水はふたつの排水枡へ流れ込み、沈殿汚泥とスカム(浮遊汚泥)を取り除きます。次に、人工湿地第一処理槽では、砂利の上から排水を散水し、鉛直流により好気性微生物のチカラで有機物などを分解します。その後、人工湿地第二処理槽では、水が常に溜まった状態にして、水平流により嫌気性微生物による脱窒(窒素を除去する)を行います。

 このように、台所排水をきれいにしてから地域の水域へと放流します。浄化装置は、お金をかければ、もちろん高性能な設備を導入することができますが、メンテナンスを自分でできるシステムこそが重要であると思います。身の回りの材料を使い、しくみを理解して、みんなで作ることがとても尊いことなのです。

竹式傾斜土槽システムの試作

【概要】
  傾斜土槽法とは、四電技術コンサルタントの生地正人氏が考案した、底面に傾斜をつけた容器に担体を敷き詰めて、排水を流下させることで浄化するシステムです。電力を使わないため、低コストでメンテナンスが容易であるという特徴があります。底面には、高さが30mm程度の遮水壁があり、排水は遮水壁を乗り越えながら流下していきます。

【しくみ】
  竹式傾斜土槽システムは、貯留槽と傾斜土槽で構成されます。傾斜土槽用の竹は、節を30mm程度のこして加工します。台所排水は貯留槽に流れ込み、麻紐を伝いながら、傾斜土槽へと流入し、傾斜土槽では節を乗り越えながら、流下していきます。

【傾斜土槽の作り方】
1.まずは、直径15cm程度の大きな孟宗竹を用意します。
2.加工する為の下書きを行います。
3.傾斜土槽の製作について、説明します。竹の繊維にそって、ノミで裂いていきます。
4.節を3cm程度残して、削り取っていきます。
5.完成しました。 
6.次に、貯留槽の製作を説明します。貯留槽では竹の節をすべて削り取ります。
7.傾斜土槽へ流下させるために、直径5mmの孔をあけます。
8.浄化装置をうけるための脚を製作します。余った竹を使うと良いでしょう。ピンコロと竹を固定し、浄化装置を載せる部分は、V型にカットし、滑り止めのスポンジ等を取り付けます。
9.仮設置をして、貯留槽が水平かどうか、傾斜土槽の角度は適切かなどを確認します。
10.台所排水が貯留槽に流れ込む部分を調整します。 最後に、処理水を受ける壷などを設置し、完成です。

 台所排水は、傾斜土槽の長さが長くなるにしたがって、きれいになっていきます。小さな循環のある暮らしは、都会でも実践できる。竹式傾斜土槽システムは、デザイン性もよく、住まい手が排水浄化を楽しむことができる画期的な装置です♪
 ▶生活環境デザインコースの紹介 ▶樋口佳樹准教授の紹介

TRAIN LABO NO.18 PDF
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