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NO.15 電気自動車向けのハイスペックな「全固体電池」を開発!

NITトレインラボ 2019.10.01

基幹工学部 応用化学科 固体電気化学研究室 白木將 教授

 わたしたちの生活に電池は欠かせません。こどもの頃には、電池で動くおもちゃで遊び、大人になった今ではスマートフォンやモバイルパソコンで利用しています。自動車のエンジンを始動するときにも電池は必要です。電池には1次電池と2次電池があります。乾電池のように、使い切ったら終わりの電池を1次電池、車や携帯電話のバッテリーのように、充電して何度も使える電池を2次電池と呼びます。何度も繰り返し充電して利用できる電池が理想的な2次電池です。

 リチウム電池は、正極(プラス)、負極(マイナス)、電解質の3つから構成されています。電解質を通って、リチウムイオン(Li+)が正極と負極の間を行き来することにより、充電と放電の反応が起きています。正極と負極は固体ですが、電解質には可燃性の液体が使用されています。そのため液漏れや発火の危険性があり、重大な事故につながることもあります。そして、固体の電解質を利用した全固体電池は、安全性に優れ、電気自動車などの大型バッテリーへの応用が期待されています。また、電気自動車の普及によって、エネルギー・環境問題の解決につながることも期待されています。安全で、充電を繰り返しても劣化しない全固体電池をつくることが、わたしたちの電池研究の目標です。

 バルクでは単結晶の合成が困難な物質であっても、薄膜の状態であれば単結晶ライクなエピタキシャル薄膜の作製が可能になる場合があります。薄膜合成では、薄膜の原料となる物質を高温に加熱して気化し、基板上でエピタキシャル成長させる手法が一般的です。わたしたちは、パルスレーザー堆積法(PLD)や分子線エピタキシー法(MBE)、スパッタ法などの薄膜合成技術を活用して電池材料の薄膜合成に取り組んでいます。さらに、正極、固体電解質、負極の薄膜を積層し、薄膜型の全固体電池を作製して、充放電特性、サイクル特性、交流インピーダンス法を用いた抵抗分離測定等の評価を行っています。リチウムイオンが電池材料の中でどのような経路を移動、充放電反応が進むのかを明らかにすることによって、高性能な全固体電池の実現を目指します。

▶応用化学科の紹介 ▶白木將教授の紹介


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