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NO.13 「反射」という現象をナノレベルで制御して 金属の表面に光を閉じこめる 基幹工学部 機械工学科 光テクノロジー研究室 小崎美勇 准教授

NITトレインラボ 2019.08.01

光を閉じこめて使うプラズモニクス

 金属の表面は光を良く反射します。良く磨けば顔が映るくらいきれいに反射します。なかでも金や銀は宝飾品の材料としてつかわれ、人々を魅了しています。しかし貴金属の魅力は目に見える輝きにだけにあるわけではありません。条件が上手く整ったとき、光は金属によってその表面に閉じ込められます。そこには光の魅力が凝縮されていると言えるでしょう。このような現象を利用する分野をプラズモニクスと呼びます。

光は電子の振動―表面プラズモンポラリトン―として閉じ込められる

 光は電磁波、つまり電場と磁場の波です。一方、金属内には自由に動き回ることができる自由電子がたくさんあります。光が金属に入射するとその電場の波が電子を揺さぶります。結果として電子が波うちます。その電子の波によってつくられた電場がまた光として放出されたものが反射光です。条件を整えれば、光のエネルギーは放出されずに金属表面に貯まります。それを実現する金属として、数十ナノメートル(100万分の1ミリメートル)レベルの微細な粒子、針、薄膜などが良く知られています。

数十倍の光強度・色の選択性・周辺環境に敏感な励起条件

 表面プラズモンポラリトンの応用の基本は高い光強度にあります。普段は飛び回っている光をどんどん捕まえて閉じこめるわけですから、そこでは高い光密度が期待できます。したがって光を効率よく利用することができます。

 光の閉じ込めは電子の振動の相互作用の結果だから、光を閉じこめるのに適した振動数(時間当たりの振動の回数)というのがあります(ブランコという遊具を思い浮かべてみると良いかもしれません。タイミングよく背中を押さないとブランコの振れ幅は大きくなりません)。光の色の違いは、その波の振動数の違いです。したがって、電子をゆらして表面プラズモンポラリトンにする光の色を調整することもできます。写真の三色の薔薇は、ホログラフィという立体像の記録再生技術とプラズモニクスを組み合わせて表示したものです。

 人間の目には無色透明に見えても、表面プラズモンポラリトンを使えば見分けることもできます。光が表面プラズモンポラリトンとして閉じ込められるか否は、そんな物質の違いにも左右されるからです。たとえば、通常は水もアルコールも人間の目には無色透明に見えます。ですが表面プラズモンポラリトンを用いれば、動画のように水がアルコールに入れ替わる様子を可視化することもできます。

キラキラ輝く貴金属。そこにある科学も一緒に身に着けられたら素敵ですね!

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