第17回日本磁気科学会年会で「学生ポスター賞」を受賞
環境共生システム学専攻博士前期課程2年(池添研究室)の鈴木智明さん(埼玉県私立花咲徳栄高等学校出身)が11月10日、第17回日本磁気科学会年会において「学生ポスター賞」を受賞しました。
受賞研究名は「磁気浮上条件下での再結晶過程の観察」です。
本研究では、磁石を用いて反磁性*物質を空中に浮上させる技術を開発しました。これまで、同様の実験を行うには、世界有数の特別な研究所にしか設置されていないような、極めて強い磁力を発する電磁石を使用する必要がありましたが、今回、永久磁石の周囲に広がる磁力線の空間分布を精密に計算したところ、市販の安価な(100円程度の)永久磁石を4つ組み合わせるだけで、物体を浮上させることができることを発見し、実験によってそれを証明することができました。
*反磁性:物質が磁石から反発する性質のこと。水、プラスチック、ガラス、陶器、木材など、身の回りにある物質の多くがこの性質を示しますが、あまりにも反発力が小さいので一般には知られていません。今回の研究では、このわずかな反発力が重力と釣り合うような条件を見つけ、物体を浮かせることに成功しました。
国際宇宙ステーション内の微小重力環境における研究の代表例として、タンパク質の結晶育成が挙げられます。その研究成果は、未来の医療や創薬の研究につながるものですが、この実験を実施できるチャンスは非常に少ないうえに、宇宙へ行くリスクはとても大きく、また、それと同時に莫大な費用が必要となります。今回受賞した研究の技術を活用すれば、宇宙での実験と似たようなことを誰でも簡単に且つ安価に地上で実施できることになります。莫大なコスト削減が実現されるだけでなく、実験機会が飛躍的に増加するので、研究の著しい進歩が期待されます。
今回の受賞に際し鈴木さんは「学会でポスター賞を受賞でき、大変うれしく思っております。今回の研究・発表を通して、さらなるアイディアが生まれてきました。今後も研究活動に励んで参ります。」と抱負を述べています。 鈴木さんの今後の活躍を期待しています。
【参考】
◆日本磁気科学会(外部サイト)
http://www.magneto-science.jp/
◆研究室紹介(先駆物質化学研究室・池添 泰弘 教授)
https://www.nit.ac.jp/department/chemistry/lab/lab1/pioneer